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今日のスタジアム(2021年8月21日)〜126日ぶりの歓喜〜

令和も今年で3年目になるが、バカバカしいくらいハードでタフな世の中だ。コロナは変異を繰り返して勢いは衰えていない。マスクは手放せず、ワクチン接種の予約をとるのも一苦労。その影響は飲食店や映画館、そしてスポーツイベントに波及している。保証も万全とは言えず、J1でも観客数が制限されているため赤字クラブが続出している。

その中でもセレッソはひどい。経営状態も目を覆いたくなるものだが、チームも結果を出していない。ACLや天皇杯では勝てているが肝心のリーグ戦ではなんと11戦も勝利していないのだ。最後の勝利が4月18日の浦和戦と聞いて愕然とする。もう8月、夏も過ぎゆく頃だと言うのに……。

赤鬼の覚醒

この日開催された横浜FC戦も曇天に似つかわしいひどい流れだった。組織だった攻撃などなく、守備も個々の力でしのぐのが精一杯。5-4-1という守備的なシステムを組んだというのに前半飲水タイム前に軽々と失点してしまった。

そこで、選手の何人かがキレた。最もキレたのがチアゴだ。鬼のような表情で敵の前線を潰し、セットプレーとなると我先にと相手ゴール前に走っていく。赤鬼という表現がピッタリの有様だった。

チームメイトがそれを察したのか、正確なボールを相手ゴール前に供給する。丸橋祐介のフリーキックも、藤田直之のコーナーキックも、チアゴの頭にドンピシャだった。チアゴはこのチャンスをいずれもモノにして、たった3分で逆転することになった。

乱調こそセレッソの真髄

後半になるとレヴィー・クルピ監督が動く。西尾隆矢の動きが鈍いと感じると豊川雄太を投入、システムを攻撃的な4-4-2に変更する。それでまた、選手がキレた。

豊川は常にボールを追い続ける。精度を欠いたパスでもフルスピードで受け取ろうとするし、相手が最終ラインでボールを回していてもペース配分など考えもせずプレッシングを続ける。この献身的なプレーが選手個々のハートに火をつけた。

前半には殆ど観られなかったゴールを目指すチャレンジが増えてくる。清武弘嗣も坂元達裕も、ボールを受け取ると得意のパスやドリブルで相手を切り刻み始めた。練習したコンビネーションなど知ったことかといった風情だ。

私はその様子を観て子どものようにワクワクしていた。セレッソが最もセレッソらしさを出すのは、選手が勝手に動き出す、その刹那だからだ。勝てば快感、負けても死ぬだけ、そんなスリリングなサッカーが間近で観られるなんて最高じゃないか。

ゴウ・ジ・プラタ

そうして、坂元のゴールが生まれた。ブラジルでは語り継がれるようなゴールをゴウ・ジ・プラタ、プレートに刻まれるくらい特別なゴールと呼ぶそうだが、坂元の今期6ゴール目はまさにそれだった。清武の正確なスルーパスと坂元のキレが相手守備陣を切り裂く様子を生で観戦できた、ただそれだけで幸せだった。

その後、高橋秀人が豊川を引き倒して一発退場することで試合は決した。3-1、久しぶりの快勝だ。

清武の言葉

試合後、選手はスタンドを巡ってサポーターの応援に応える。一巡りするとこの試合のキーマン、チアゴと清武のヒーローインタビューが始まった。

ピッチ外のチアゴは本当に人懐こく、優しいあんちゃんといった語り口だった。清武の「チアゴが怒ってたので。」という際どいコメントに苦笑いし「怖がらせちゃったのなら悪いことしたな。」と頭をかいた。

一方の清武はどこか決意したような様子だった。「シーズン前はトップ3を目指していたが、現在は残留争いの只中にある。厳しい戦いが続くが応援してほしい。」そうサポーターに語りかけたのだ。

クラブ関係者が残留争いを口にするのは珍しいことだ。選手が、それも勝った試合で話すことでもない。だが、清武程の選手がなんの考えもなしにしゃべるはずがない。

ここからは推測でしかないけれども、清武はあえて残留争いと語ることで、サポーターやクラブ関係者の覚悟を知りたかったのではないだろうか。現実の厳しさ、苦しさを効果的に伝えるならばヒーローインタビューが一番だ。勝ちに浮かれる人間に冷水を浴びせ、気を引き締められる。

とりあえずこの試合には勝てた、けれど次の試合はわからない。ダービー3連戦、ACL、天王山がいくつも続く。

リーグ戦最後の2試合は柿谷曜一朗や木本恭生がいる名古屋、ロティーナ前監督が率いる清水が相手だ。できればそれまでに残留を確定させたいが、果たしてそれができるのだろうか?清武の覚悟に応えたいけれども……。

 

写真・文:牧落連

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