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今日のスタジアム(2020年11月3日)~ダービー、特別な一戦~

ダービーは筆者にとって最も苦手な一戦であり、かつ最も素晴らしい一戦だ。

年に2度、同じ町の名を冠するクラブ同士が戦いあう。全くサッカーを知らない人から見ればただそれだけのことかもしれない。だが違う、説明がまったく足りていない。ダービーは人が持つ価値観、考え方の激突なのだ。

サッカーが好きで、地元が好き。そんな人の目の前に二つのクラブが存在する。さて、どちらを応援しよう?強さ弱さで決めるだろうか、クラブが持つ特色で決めるだろうか、カッコいい選手を好きになる人もいるだろうし、サポーターが醸し出す空気が決め手になる人もいるだろう。

そうして片方のクラブにどっぷりハマった人は、いつしか好きなクラブのグッズを身にまとい、足しげくスタジアムに通うことになる。

逆の視点で見てみると、もう一方のクラブはどうにも応援できないような要素があったということになる。クラブの哲学を受け入れがたいだとか、サポーターの空気が慣れないだとか……。

そんなチームが「本当の大阪は俺達だ!」なんて吹聴しているのは受け入れがたいものがある。そんなクラブと直接対決できる数少ない機会、それがダービーなのだ。

日本一のダービー

世界にあまたあるダービーの中でも、大阪ダービーは特別なものと考えている。対戦成績(Wikipedia参照)は非常に悪いが、2011年のAFCチャンピオンズリーグ、2017年のルヴァンカップとここ一番ではしっかりと勝利している。互角と言ったら笑われるかもしれないが、少なくとも一方的に負け続けているというほどでもない。

また、近年に限って言うなら比較的安全なダービーだとも言える。試合のたびにどちらかのサポーターがやんちゃをしている様子がSNSで拡散されたり、欧州では第二次世界大戦を想起させるからと絶対に掲げられないような旗を作ったりもしているが、少なくとも15年ほど前に起こった両チームサポーターの衝突や、その結果起こったサポーターのスタンドからの落下といった「事件」は起きていない。両クラブスタッフの不断の努力と一部のサポーターによる周知徹底の結果だろう。

実際、今回のダービーでもセレッソ、ガンバそれぞれのユニフォームを着て話し合うグループがたくさんいた。10代20代と思わしき若い子が多い。この特別な試合を楽しもうというという空気感が、大阪ダービーをより素晴らしいものに昇華させている。

試合が始まれば「ガチンコ」


しかし、スタジアムに入り席に座ると、この緩い空気感が次第に消えていく。そうして、両クラブのサポーターの熱い応援合戦が始まる。

セレッソのゴール裏ではピンクのボード(折り目がついており、後でハリセンとしても使える便利なアイテムだった)が掲げられ、スタンドをチームカラー一色に染め上げる。アウェイゴール裏でも青と黒のごみ袋を座席に並べ、見事なコレオグラフィーを完成させた。

歓声もコールも許されないコロナ禍にあってもこれほどの熱さで応援できるのだと感心しきりだった。

試合自体も内容が濃く、納得のいくものだった。

激しいフィジカルコンタクト、キレのいいドリブル、泥臭いゴール。いいプレーが出るたびにハリセンの音が響き、立体トラス構造の屋根に反響する。これほど濃厚な引き分けも珍しい。

コロナ禍でも……

最後に観客数の話をしよう。ヤンマースタジアム長居は5万人収容のスタジアムということになっているが、実際の座席数は4万7,816席である。そして、2020年11月現在の観戦ルールではスタジアム収容人数の50%までしか観客を入れてはならない。アウェイサポーター席とホームサポーター席の間に設けられている緩衝帯を含めると、どう見積もっても2万2,000席程度しか販売できないことになる。

そんな中でも、このダービーには1万9,533人もの観客が訪れている。コロナウイルスに罹患するのではと自宅観戦をしている人たちもいることを考えると驚異的な数字と言える。そう、日本一のダービーは集客も日本一なのだ。

この素晴らしい文化が疫病に負けず何十年、何百年と引き継がれていくことを強く願う。

写真・文:牧落連

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