週末には長居に出かけ、試合を観る。当たり前だと思っていた日常がようやくサポーターたちのもとに帰ってきてくれた。名古屋グランパス戦の観客はたった4026人だったけれども、大きな前進だ。
戻ってきたもの、変わってしまったもの
酷暑が予想された7月12日の大阪。だが意外にも涼しく、過ごしやすい。
普段ならリラックスしてアルコールを飲むところだが、ピリピリとした空気と新しいルールがそれを許さない。スタジアムグルメの店員たちはみなマスクにフェイスシールド、手術に使うような薄手のゴム手袋を身に着けている。
入場ゲートも様変わり。ずらりと非接触体温計が並び、奥には透明なシールドで区切られた手荷物検査場とチケットチェックが待っている。
観客は指定された場所に立ち、ソーシャルディスタンスを守りながらゆっくりとスタジアムに入る。それをカメラマンたちがしきりに撮影している。試合を観ることそのものがニュースになるのか……。
コンコースにはいたるところにテープが貼られていた。飲食売店、トイレ、どこもかしこも立ち位置が決まっていて密にならないように工夫がこらされている。また、そこかしこに消毒用のアルコールが置かれていたのも印象的だった。
スタンドに入るにも一苦労した。ヤンマースタジアム長居は席がAからJまで10のブロックに区切られており、通常は同じ席種のエリアであればどこのゲートからでも入場できる。
しかし、この日はそれぞれ指定されたゲートからしか入れない。たくさんのスタッフが観客を誘導していた。座席につくまで一苦労だが、試合を観るためにもガマン、ガマン。
拍手はやがて……
選手がピッチに登場すると万雷の拍手が迎える。チャント(応援歌)も太鼓も旗を振ることも禁止された現状では、それ以外に選手を鼓舞する方法がない。手が腫れてもただただ拍手。
クラブがスタジアム内のスピーカーからチャントの音源を流していたが、どこか無機質なものに感じる。
試合後半には観客全員の拍手のリズムが合い、まるで手拍子のようになっていたが、たまたまだということにしてほしい。
※Jリーグの新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインでは手拍子は禁止されています。
クラブの努力を無にしないために
セレッソはクラブ一丸となり、思いつく限りの感染予防対策を講じている。これ以上の対策となると観客全員へのPCR検査しか思いつかないくらいだ。
だからこそ、サポーターもそれに応えなくてはいけない。「スタジアムがクラスター」だと言われないよう、細心の注意をはらいたい。
さてさて、久しぶりの観戦で疲れてしまった。ゆっくり休んで、次こそ勝とう、勝たせよう。
写真:牧落連・ヤマ(ps) / 文:牧落連