記者 2021年シーズン展望、今回は女子チーム「セレッソ大阪堺レディース編」です。
私だけでは心もとないので、今回はセレッソ大阪堺レディースOBで、現在は大阪体育大学に所属されている岡村陽舞莉(ひまり)選手にオンラインで参加いただきました。
岡村陽舞莉選手(以下、岡村) よろしくお願いします!
記者 岡村選手は小学校6年生から高校3年生(2019年シーズン)までセレッソ大阪堺レディース、そして下部組織であるセレッソ大阪堺ガールズやアカデミーでプレーされていました。セレッソでプレーするきっかけは何だったのでしょう?
岡村 小学生のころ3つ上の兄がサッカーをしていて、自分もプレーしてみたいと思うようになりました。そうしたら小学5年生の時(2012年)に友達から「セレッソに女子チームがあるよ。」と教えてもらって、翌年セレクションを受けたのがきっかけですね。それから6年間セレッソ一筋でした。
記者 セレッソ大阪堺レディースがチャレンジリーグ(当時の女子3部リーグ)に参入したのが2013年なので、本当に初期のころからプレーされていたんですね。
岡村 そんな大げさなことじゃないですよ(笑)ただ、私にとって大切な6年間でしたね。高校に進んでからは主に堺ガールズでセンターバックや右サイドバックとして出場させてもらって、その経験が大学でも生かされています。チームメイトにも恵まれて本当に楽しい毎日でした。
記者 堺レディースの中には、岡村選手と共にプレーした選手もたくさん在籍されていますよね。今回は選手のプレースタイルやチームの構成について、詳しく解説をお願いします。
岡村 責任重大ですね。ベストを尽くします!
“WEリーグ”開幕で変わる、日本女子サッカー
記者 早速堺レディースの紹介に移りたいのですが、その前に日本女子サッカー界全体のお話をしなくてはいけませんね。
岡村 そうですね。今年から女子プロサッカーリーグ、WEリーグが始まります。今まではなでしこリーグ1部が女子サッカーのトップリーグという位置づけでしたが、今後はWEリーグが1部、なでしこリーグ1部が2部リーグということになります。
堺レディースはプロ化せず、なでしこリーグ1部でプレーします。
記者 選手の皆さんに与える影響も大きかったと思います。堺レディースからもWEリーグへの移籍が相次ぎました。
岡村 より高いステージでプレーしたい、成長したいという気持ちは誰しもが持っているものだと思います。プロリーグが発足したことでより具体的な目標ができた気がしますね。違う舞台での活躍、応援しています!
若手中心のチーム編成
記者 さて、いよいよチーム編成についてお話を進めていきましょう。先だってお話ししたようにプロリーグへの移籍があったため、昨季とは顔ぶれが大きく変わっています。
2021シーズンのセレッソ大阪堺レディース(レディース)、レディースの下部組織であるセレッソ大阪堺ガールズ(ガールズ)、…
岡村選手はどのように感じていますか?
岡村 堺レディースはもともと若いチームですが、今季はより平均年齢が低くなって、ほとんどの選手が10代になりましたね。
記者 私のようなおじさん世代の人間は不安に思うことがあります。勝負勘やフィジカルは若い選手にとって泣きどころですからね。
岡村 それは大丈夫だと思います!彼女たちは堺ガールズやアカデミーの選手としてチャレンジリーグや様々な大会に出場しているので経験豊富です。彼女たちがトップチームで試合に出ればさらに貴重な経験ができます。身体能力もどんどん強化される時期なので、試合を重ねるごとに選手もチームもレベルアップしていきますよ!
記者 ともにプレーした岡村選手からそう言ってもらえると安心します(笑)
注目の3選手を紹介!
記者 では、続いて岡村選手に今期のおすすめの選手を紹介していただきましょう。解説をお願いします。
岡村 はい。私のおすすめ選手は荻久保選手、小山選手、浜野選手の3人です。1人ずつ紹介していきますね。
荻久保優里(ゆうり)選手(MF 背番号7)
岡村 まずは荻久保選手です。ミッドフィルダーとして登録されていますが、センターバック、ボランチ両方をこなせるユーティリティープレーヤーです。特に最終ラインのコントロールがうまくて、左右両足でフィードを出せるのもポイントですね。
記者 センターバックの選手はフィジカルが強いのが持ち味という選手が多いですが、荻久保選手は少しタイプが違いますね。
岡村 はい。フィジカルとテクニック、どちらも持ち合わせているのが強みです。私が堺ガールズにいたころはよく一緒にプレーしていました。その時からうまいなと思っていましたが、昨シーズン堺レディースでプレーするようになってからより成長したと思います。
小山史乃観(しのみ)選手(DF 背番号10)
岡村 次は小山選手です。登録はDFですが、昨シーズンはFWとしてもプレーしていました。小柄ながらも予測や判断力でそれをカバーしています。試合では冷静ですが、根はとっても情熱的なんです。
記者 試合を観ていると年上の選手でもどんどん意見していますよね。物怖じしない性格なのがよくわかります。
岡村 はい!今年は背番号10を背負ってのプレーになります。若いチームの中でもひときわ若いですが(中谷選手や白垣選手と同じく2005年生まれ)チームをけん引してくれる核になってほしいです。
浜野まいか選手(FW 背番号11)
岡村 最後は浜野まいか選手ですね。圧倒的なスピードとテクニックでゴールを奪う天性のストライカー、周りを驚かせるような想像力豊かなプレーと笑顔がポイントです。
記者 背番号11は昨年チームで大活躍した宝田沙織選手(現ワシントンスピリット所属)の背番号。期待度の高さがうかがえますね。
岡村 浜野選手なら期待に応えられると思っています。次世代のなでしこジャパンを育てるなでしこチャレンジトレーニングキャンプにも召集されるほどの実力を持っていますから。昨季も大活躍しましたけど、今季はそれ以上のプレーを見せてくれますよ!
記者 あと、愛されキャラですよね(笑)
岡村 めちゃくちゃかわいくて、そこも見ていただきたいですね(笑)
シーズン展望
記者 最後にシーズン展望ですが、今季は難しいですね。堺レディースでも多くの移籍がありましたが、昨年までなでしこリーグ1部に参加していたチームがWEリーグに参加したりと、リーグ全体も大きく変わりました。
岡村 よく考えてはみたのですが正直何がどうなるのかサッパリわからないですね。リーグ戦序盤はどのチームも手探り状態ではないでしょうか?そうなると、アカデミー、ガールズと育成がしっかりしている堺レディースが有利かもしれません。
おすすめ選手に挙げた3人も2019年は主にガールズでプレーしていましたが、レディースでプレーしてもすぐになじんでいましたからね。
記者 堺ガールズの監督である池田昌弘氏は堺レディースのコーチも兼任されています。トップチームの考え方、戦い方を育成年代にフィードバックできるのも強みということですね。
岡村 イケさん(池田コーチの愛称)は情熱的な指導者です。試合中抗議しすぎて審判に怒られるくらい(笑)時々レディースやガールズの選手をお茶に誘ったりしているんですけどみんな明るいし前向きだし、イケさんいい仕事してるなって思ってます。
記者 指導者はクローズアップされる機会こそ少ないですが、チームの命運を左右するキーマンですからね。堺レディースの竹花友也監督はじめ、コーチ陣も要チェックですね。
岡村 監督、コーチ、サポートしてくださる皆さん含め、みんなで堺レディースです。コロナ禍で声援も大旗も禁止されていますが、手拍子だけでも選手は勇気づけられます。12番目の選手として、みんなの背中を押してもらえるかどうかも大事なポイントだと思います。
まとめ
記者 不確定要素が多い今年の日本女子サッカー界。「こうなるだろう」と断言できる人間は数えるほどしかいないでしょう。
岡村 ただひとつだけ、セレッソ大阪堺レディースの選手たちはどの試合でもベストをつくします。それだけはハッキリと断言できます。
記者 確かに堺レディースは最後まで全力ですよね。試合終了の笛が鳴るまで相手にプレッシャーをかけ続けたり、パスカットを狙ったり。
実際、昨年のINAC神戸戦では浜野選手のパスカットから豪快なミドルシュートを決めていますよね。
岡村 あれは努力はウソをつかないんだなってゴールでした。今年も全22節、全力でかけ抜けてくれると信じています。その戦いを、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。
昨シーズンも数試合、ヤンマースタジアム長居やヤンマーフィールド長居での試合もありましたから、ヨドコウ桜スタジアムでの公式戦もありそうですよね。さくらなでしこにも要注目ですよ!
写真・取材:牧落連