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【特別企画】『セレッソ大阪を分析するブログ』の運営者Akiさんにインタビュー〜2021シーズンの展望を訊く〜

Jリーグ開幕まであと1週間!ということで今回は、人気ブログ『セレッソ大阪を分析するブログ』の運営者、Akiさんにオンラインでのインタビューにご協力いただきました。

セレッソ大阪公式戦全試合のレビュー・リーグ戦プレビューを中心にセレッソ大阪のサッカーを記録したブログ…

なぜ勝てたのか、負けたのかを戦術面から分析するブログは多くのサポーターに支持されています。

今回はAkiさんのセレッソ大阪との出逢いやブログを開設した理由、そして鋭い観察眼を持つに至った経緯をうかがいました。

インタビュー後半では多くの選手が入れ替わり、衝撃的なオフシーズンを経た今季のセレッソを分析。注目選手のプレースタイルも紹介していただきました。どうか最後までご覧ください。

セレッソを応援するようになったきっかけ

記者 早速ではありますが、まずはAkiさんがセレッソサポーターになったきっかけをお聞かせください。

Aki 単純に場所です。祖父母の家が東住吉区で、自分も子どもの頃に東住吉区に住んでたことがあって、長居公園とかヤンマースタジアムの裏のプールとかにはよく自転車で行ってました。

大学生の時にJリーグが開幕して、当初は万博公園にも何度か行きましたが、大阪市民、特に淀川より南の人にとっては万博はどうしても遠い。なので長居のセレッソをよく見に行くようになりました。

中学生のころから時々、日本サッカーリーグ(JSL、Jリーグ開幕の前年、1992年まで存在したアマチュアリーグ)の試合を観戦していたのでサッカーをスタジアムで見ることも好きでした。

記者 意外と単純なきっかけでしたね、でも、チームを好きになる第一歩はそういう些細なことなのかも知れません。

“公式戦全試合レビュー” ブログを始めた理由は……?

記者 では、今度は『セレッソ大阪を分析するブログ』を開設されたいきさつを伺います。過去、セレッソをテーマにしたブログはたくさんありましたが、戦術を丁寧に紹介するブログはほとんどありませんでした。どのような経緯があったのでしょう?

Aki ブログを始めたきっかけは2011年のACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場です。初めてアジアの舞台で戦うということで記録を残しておきたいと思いました。

セレッソ大阪公式戦全試合のレビュー・リーグ戦プレビューを中心にセレッソ大阪のサッカーを記録したブログ…

そして、どうせやるなら中途半端は嫌だったので公式戦全試合のレビューを書こうと。去年の2020年でちょうど10シーズンになるんですけど、公式戦は全試合レビューを書いています。最初はアクセス数も100行くか行かないかぐらいだったんですが、徐々に見ていただく方が増えていきました。

記者 今ではサポーターブログの中でも絶大な支持を得ていますね。セレッソに絞り、かつほぼ全試合の戦術分析をおこなっておられるのはなぜでしょうか?

Aki ブログをはじめたころは、”らいかーると”さんを筆頭に「分析ブログ」というジャンル自体は既にありました。(『サッカーの面白い戦術分析を心がけます』のこと)

ですが、海外サッカーとか日本代表について書かれている方がほとんどで、Jリーグのことを書かれている方はあまりいませんでした。そして、海外サッカーのファンとJリーグのサポーターとはサッカーの見方自体もちょっと違っていると感じていました。

また、これは市場規模の問題ですが、Jリーグは大手メディアや専門誌では各チームまで追いきれない現実があり、チームを追い続ければ追い続けるほどメディアからの情報では物足りなくなるということも感じていました。

なので、僕も海外サッカーも見ていましたが、あえてJリーグの、そして自分が応援してるセレッソ大阪に絞ろうと考えました。

記者 Akiさんのブログから戦術眼を養われているサポーターも多いかと思います。その点についてはどう思われますか?

Aki ここ数年でJリーグの様々なチームで分析ブログを書く方が増えましたが、僕のブログがきっかけで始めたって言っていただくこともあって、そう言っていただけるのは嬉しいですね。

一番のポイントは「何をしようとしているか」

記者 ここからはもう少しAkiさん自身について伺ってまいります。試合の分析力や観察眼を持つに至った経緯はいったいどのようなものだったのでしょう?

Aki サッカーを分析するようになったのは、高校生の時にWOWOWでセリエAの中継が始まったのがきっかけです。

当時は現在のようにたくさんの試合を放送しているわけではなく、中継があるのは1週間に1、2試合。その試合を何回も繰り返し見て、サッカー部の仲間とああだこうだと話し合い、「何故そうなっているのか」「何をしようとしているのか」を考えるようになりました。

記者 近くに語り合える友人がいたのは大きかったですね。分析に関して心がけていることはありますか?

Aki 「何をしようとしているのか」は分析する上で今も最も大切にしていることの一つですね。結果が出ているかどうか、上手くいっているかどうかはもちろん大切ですが、それで良かった・悪かったで終わってしまうともったいない。

なので、この先どうなっていくのかを考えるためにも、このチームは何をしようとしているのか、それを実現するためにサッカーの4つの局面、「ボール保持」「ボール非保持」「守備から攻撃への切り替え(ポジティブトランジション)」「攻撃から守備への切り替え(ネガティブトランジション)」にどのように落とし込もうとしているのか、を見ようと常に心がけています。

記者 さらに掘り下げていきましょう。ブログを書くにあたってどのような準備をされているのでしょう?

Aki ブログでは主にプレビューとレビューを書いていますが、プレビューでは直近の2〜3試合は見るようにしています。結果や選手起用情報は遡ってデータを追ったりしますが、試合を見るのはそれぐらいです。

ただ、シーズンはリーグ戦ですから次戦の相手が4試合前に前回の相手と対戦していることも頻繁に出てきますので、シーズンが進むにつれて直近の試合を見る前からやっているサッカーのイメージがあることが多くなっていきます。

記者 試合前のレビュー記事は本当にありがたいです。相手チームのプレースタイルもしっかり把握されているように思いますが、どのように分析されているのですか?

Aki 事前の予習に関しては、1試合を通じて見ることもありますが、前半だけ先に続けて見ていくことも多いです。見ているのは、先ほどもお話した「何をしようとしているのか」「それをどう落とし込もうとしているのか」。

最初はプレビューを書いていませんでしたが、以前から事前に対戦相手の試合を見て予習するということをしていたので、ブログをご覧いただいている方にも事前にどんなチームなのかを知っていた方が試合を楽しむことができるんじゃないかと思い、2013年から書き始めました。

セレッソ大阪公式戦全試合のレビュー・リーグ戦プレビューを中心にセレッソ大阪のサッカーを記録したブログ…

記者 途方もない努力をされているのですね。セレッソだけではなく相手チームの分析もおこなうのは大変ではないですか?

Aki (レビューに関しては)スタジアムだったりDAZNだったりで必ずライブで一度は見るので、見ている時、見終わった後におおまかに内容を決めて、試合翌日にDAZNで試合を見返しながら書いています。見返す時は倍速再生で見ているので、書く時間は実質2〜3時間ぐらい。それを試合翌々日の12時にアップしています。

記者 Akiさんのブログは内容が濃く、記事がアップされるのも早いですよね。そのスピード感も人気の理由だと思います。

2021年のセレッソ大阪を“分析”

記者 さてさて、いよいよ今シーズンのセレッソを「分析」していただきましょう。監督が変わった影響は大きいですよね。

Aki ええ。まさかの監督交代でクルピの復帰となった今シーズンですが、去年までとは全く違うチームになるのは間違いないと思います。「去年までの堅守をベースに攻撃力を上積みして」ということを言われることもありますが、サッカーの攻守はそもそも分けることができない一体化したもの。なので監督が変わって哲学が変わると別のものになってしまうのはしょうがないと思います。

記者 では、ロティーナ前監督が作り上げた守備についても変化が起こりそうですね。

Aki いきなりゼロになることはないでしょう。開幕してからしばらくは、選手個々が持っているディテールはしばらくは残る。そんな個々のディテールでどれだけ(守備を)カバーできるかということろがポイントになりそうです。

例えば、宮崎でおこなわれた練習試合の動画を見ると、守備ではきちんと4-4-2でセットしている様子が見られます。これは以前クルピ監督が指揮をとっていた時はなかなか見れなかったことです。しかし、SBがサイドに引っ張り出された後のSBとCBの間をどうカバーするのかは不安定な感じも見えました。ここは選手個々で解決できる問題ではなく組織の問題。なので、選手間での新たな約束ごとが必要となりそうです。

記者 少し不安が残りますね。

Aki とはいえ、クルピ監督は選手の特徴を見てバランスのよい組み合わせを見つけることに長けているので、10試合を経ったころには面白い組み合わせが出来ているのではないでしょうか。

ただ一つ心配なのは新外国籍選手の来日問題。今季の編成ではCBとCFは新外国籍選手に期待している部分が多いので、ここは早く解決してくれることを願っています。

記者 コロナウイルスの影響は大きいですね。2週間の自主隔離がなければチームにフィットする時間も持てそうなのですが……。

今季の注目はこの3選手!

記者 気を取り直して、ここではAkiさんが注目している3選手をご紹介いただきましょう。

坂元達裕選手(MF 背番号17)

Aki まずは昨季ブレイクした坂元選手ですが、今年はここからどこまで行けるかの分岐点となりえる勝負の年だと思います。昨季は戦術で守られていた部分もありましたが、今季は自分でプレーしやすい状況を作らなければなりません。その中でどれだけできるかに注目しています。

そして何より必要なのが、結果。昨季はチーム最多タイの8アシストを記録していますが、得点はわずかに2点。大外レーンでプレーする機会が多いとはいえ、左利きの右サイドアタッカーとしては寂しい数字です。さらに上のレベルの選手になるためにも得点にこだわってほしいなと思っています。

記者 坂本選手の決定力が上がれば、チーム力は格段に上がりそうですよね。

瀬古歩夢選手(DF 背番号15)

記者 次に、守備の要(かなめ)である瀬古歩夢選手。

マテイ・ヨニッチ選手、木本恭生選手が抜けたことで、チームの最終ラインを引っ張っていかなければならない存在です。新加入選手はいますが、J1上位のチームでCBのレギュラー経験を持つCBは瀬古選手しかいません。

まだ20歳とはいえ、昨季までのヨニッチ選手のように圧倒的な存在感を示し、全試合フルタイム出場を達成する選手になってほしいと期待しています。また、ここ数年は一緒にやっていた同年代の選手が次々と海外移籍をしているので、瀬古選手自身も思うところがあるのではないでしょうか。

記者 メンタルがタフなところは南野拓実選手(現サウザンプトン所属)と共通しています。海外移籍を視野に入れているなら、さらなる成長があるかもしれないですね。

加藤陸次樹選手(FW 背番号29)

Aki 最後は今季金沢から移籍してきた加藤陸次樹(かとうむつき)選手です。

昨季は「今日のホームラン(野球のホームランのように、大きくふかしてしまったシュートを紹介する動画)」という企画というか遊びを僕がTwitterで勝手にやっていて、そのためにJ1からJ3までのリーグ戦全試合のハイライトを見ていました。

その結果、必然的にJ1からJ3までの全ゴールを見ることになったのですが、そうなると「面白そうだな」と感じる選手も目につくようになり、そんな選手の一人が加藤陸次樹選手でした。

加藤選手はJ1のチームから引き抜かれるだろうなと思っていたので、セレッソへの加入が決まった時は嬉しかったです。特徴は常にDFラインの裏を狙っていること。得点のほとんどは最終ラインと駆け引きして裏に抜け出してのもので、この動きを90分間何度も繰り返すことができます。

記者 タフなインザーギ、という感じですね。

Aki かも知れませんね。得点はもちろんですが、「裏を狙い続ける」というのはチームにとって重要な要素。常に裏を狙うことでDFラインが下がり、中盤との間を広がるので2列目がプレーできるスペースが広がるからです。ライバルは多いですが、今季ブレイクする可能性は十分あると思っています。

まとめ

記者 Akiさん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

今季も『セレッソ大阪を分析するブログ』を見ながら、セレッソを鋭く、温かく見守っていきたいです。

Aki こちらこそありがとうございました。期待に応えられるように頑張ります。

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写真・取材:牧落連

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