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ヨドコウ桜スタジアム内覧会レポート~進化を続けるスタジアム~

2021年4月、緊急事態宣言発令前の長居公園では、ヨドコウ桜スタジアムの内覧会がおこなわれていた。筆者は4月17日午前の部に参加し、バックスタンド、ホームゴール裏、メインスタンド1階、2階を取材した。

今回は内覧会の順序通り、バックスタンド、ホームゴール裏、そして改修の目玉であるメインスタンドの順に改装された様子をご紹介しようと思う。

座席がアップグレード、コスパ最高のバックスタンド


ヨドコウ桜スタジアムのバックスタンドは、キンチョウスタジアム時代のスタンドをそのままに、座席のグレードが上がっている。

スタンド両端の自由席でも背もたれ付きのシートになっており、中央部は映画館かオペラハウスのようなクッション付きシートが用意されている。後述するメインスタンドと比べてもゆったりした作りになっており、じっくりと試合を観たいサポーターからビール片手にのんびり観戦したいサポーターまで、多くの人が楽めるスタンドになりそうだ。

コンコースや売店スペース、トイレなどは改修前から変わっていないし、屋根もスタンド上層部でなければ恩恵にあずかれないが、それを差し引いたとしてもコストパフォーマンスは最高だと言っていい。

余談となるが、SNS上ではバックスタンドのホーム寄り一部のシートでピッチの反対側が観られないと話題になっていた。筆者は内覧会スタッフにこのことを確認したが、見切れ席に関しては販売しないとの説明があった旨をご報告したい。

シート数倍増、屋根付きへと進化したホームゴール裏

数多くのサポーターグループが集まり、応援の中心となるホームゴール裏。こちらは改修前の3,000席から約6,000席まで席数が増え、ほとんどの席が屋根で覆われることとなった。これにより、前から5列目までとスタンドの両端以外は雨の心配なく観戦可能となっている。また、ACLに出場した際のレギュレーションに対応するため、立見席から椅子席へと変更がなされている。

ピッチ側以外は屋根や防音壁に囲まれているため、声を出しての応援が解禁された場合には今まで以上のアツい声援がピッチに届くことになるだろう。

キンチョウスタジアム時代はスタンド最前列両端から入場可能であったが、ヨドコウ桜スタジアムではスタンド中段に設けられた「8ゲート」と「20ゲート」からの入場となる。両ゲートの数字は言うまでもなく、セレッソのレジェンドナンバーである8と20に対するリスペクトである。

また、以前のゴール裏は風雨にさらされた際、逃げ場がなかったが、今回の改修で屋根が付き、拡張されたスタンドの下にもスペースが確保されているので快適さは段違いとなる。

あえて問題点を上げるとすると、屋根下に照明がないためスタンド上層ほど薄暗くなる点と、トイレの数に変更がないというところだろうか。照明に関しては後々改善される可能性もあるので、実際に試合が開催されてからの推移を見守りたいところだ。

欧州サッカースタジアムにひけをとらないメイン下層スタンド


さて、いよいよ今回の改修の目玉であるメインスタンドの紹介に移ろう。二層式、全席屋根付き、さらにピッチとの間隔はJリーグのスタジアムで最も近い5.8メートルと非の打ち所がないスペックとなっている。

座席はプラスチック製の背もたれ付きとバックスタンドに比べると若干劣るが、ヤンマースタジアム長居やキンチョウスタジアムと比べると大きく進化している。下層スタンドの前方はほぼピッチレベルの高さとなっており、臨場感あふれる試合観戦も期待できる。

下層スタンドには4つのゲートがあり、広々としたコンコースから容易に出入りできる。各ゲートとも間口が広いので混雑緩和にもなるだろう。

下層スタンドのマイナスポイントは、ホームゴール裏同様屋根ということになるだろうか。スタンドの前方と両端は風向きによって雨が入り込んでしまう可能性がある。メインスタンドは全席指定席の予定なので、チケットを買う際は注意が必要だ。

また、下層スタンド、上層スタンドともに阪和線側の階段から入場することになるのだが、鉄骨に簡易的なコンクリート舗装がされているだけの状態なので若干行き来しづらい。
その代わりというわけではないが、晴れの日は階段から阪和線と同線鶴が丘駅が一望できる。サガン鳥栖のホームスタジアム、駅前不動産スタジアムに匹敵する近さだ。

試合を俯瞰で観るのならここ!メインスタンド上層


最後にメインスタンド上層のご紹介をしよう。二階席のあるスタジアムは数多くあるが、味の素スタジアムやトランスコスモススタジアムのようにコンコースは一層で、上層には階段で行き来する必要があるスタジアムも多い。

ヨドコウ桜スタジアムでは下層、上層それぞれにコンコースがあり、トイレも別に用意されているので、試合前後やハーフタイム時の混雑も分散されると予想される。ストレスを感じず試合観戦を楽しめるというわけだ。

また上層はスタンドの角度がキツ目なので、鳥になったかのように試合を俯瞰で観ることができる。セレッソ、相手チーム双方がどのようなシステムで戦っているのかが一目瞭然だ。

傾斜がキツいことに配慮して、スタンド内の通路には各所に手すりが設けられている、これらを利用すれば転倒するということもまずないだろう。

注意すべきポイントは2点だけ。スタンドの角度が急なため、足をバタつかせると前の席の方の後頭部に蹴りが入ってしまうところと、スタンド内通路の狭さというところだろうか。

一点目は個々に気をつけるとしても、二点目は少し厄介だ。幸い上層スタンドにも広々としたコンコースがあり、ゲートも10箇所に設けられている。スタンドに入ってから自分の席を探すよりも、最寄りのゲートを事前に確認してから入場した方が効率がいいだろう。このあたりは慣れかもしれない。

総評、進化はまだまだ続く……よね?


全面改装となったメインスタンドや屋根付きとなったホームゴール裏は、サポーターに驚きと感動を与えられる仕上がりだと言い切っていい。他方、棚上げになった問題もある。

アウェイ席には未だ屋根がなく、コンコースも狭い様子だ。雨に降られたときにはたまらないだろう(それがアウェイの洗礼だ、と言うこともできるが)。
また、バックスタンドも座席のグレードアップがなされたとはいえ、築36年と老朽化している。コロナ禍にある現状では「今すぐバックスタンドの改築を!」とは言いづらいが、将来的にはバックスタンドも手を加える必要があるだろう。

これは決して特異な例ではない。欧州のビッグクラブのホームスタジアムも段階的にスタンドを増改築し、掘っ立て小屋のようなスタジアムが5万人、8万人収容の巨大スタジアムへと変貌した例がいくつもある。セレッソの成長に合わせ、スタジアムも成長する。その方がむしろ自然ではと思う。

“本当の完成”まで10年かかるだろうか、15年かかるだろうか。気が遠い話だと笑わないでほしい。セレッソ大阪というクラブが誕生して28年、学校のグラウンドのようなピッチで戦っていたチームは、今年、球技専用の素晴らしいスタジアムを主戦場とする。ならば15年後、彼らがカンプ・ノウやオールドトラフォードのようなスタジアムでプレーする可能性だってあるのではないだろうか。

若いサポーターたちはその様子を目に焼き付けておいてほしい。いつか、わが子に「ここ、昔はオンボロやってん。」と笑ってやってほしい。新しい歴史は、こうして作られていくのだ。

 

写真・文:牧落連

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