日本各地の街を訪れ、人に触れ、グルメを堪能し、勝ち点3を持って帰る。これほど痛快な旅はそうそうない。そんなアウェイ旅を少しでもより良いものにするぺく、かつて訪れたスタジアムの情報をまとめたシリーズ『いつか行ってみたいアウェイスタジアム』。
第3回目の今回は、大分トリニータのホームスタジアム「昭和電工ドーム大分」を紹介しよう。
アクセス
関西圏から大分に向かう方法は4つ、空路、鉄道、自動車だ。大分空港と伊丹空港の間には直行便があるが、LCCではないので割高なのがつらい。鉄道なら新幹線で小倉に出て、特急列車ソニックで向かうことになる。JR九州は個性派の特急が多いので鉄道系が好きな人にはたまらない旅路になるだろう。もちろん、お財布に優しい夜行バスもアリだ。
昭和電工ドーム大分は大分県大分市にある陸上競技場だが、中心地からは大きく離れた山の中で、たいていの場合、大分駅や高城駅からバスやタクシーを利用するか、大分空港から県南高速リムジンバスを利用することになる。スタジアム周辺には駐車場が多数設けられているので自家用車で直接乗り入れも比較的容易だ。
ただし、スタジアムにたどり着くまでの道路は狭いので渋滞しやすい。試合開始の数時間前なら大分駅から30分程度で到着するが、試合直後は皆が一斉に家路につくので混み合う。帰りは45分から1時間程度は覚悟した方がいいだろう。
スタジアム
2002年に開催された日韓ワールドカップの試合会場であり、収容人数は40,000席とヤンマースタジアム長居と同程度の規模を誇る巨大スタジアムだ。1階席は掘り込み式なので、東西南北に設けられたゲートをくぐるとすぐに1階席の最上段にたどり着く。メインスタンドとバックスタンドの上層は2階席が設けられているが、Jリーグの試合開催時は利用できない場合が多い。
幸いにもスタンドのほとんどが屋根に覆われており、風が強くない限り濡れずに試合観戦が可能だ。豪雨の際は可動式屋根を用いて屋根の開口部を塞ぐこともできる。
また、座席もゆったりとしているので満員となっても窮屈な思いをせず試合に集中できる。尚、アウェイチームのグッズを身に着けてホームゴール裏(北側サイドスタンド)へは立ち入ることができない。
アウェイゴール裏はピッチとはかなり距離があるが高さがある分試合を俯瞰で観やすいという利点もある。
グルメ
大分は九州で唯一瀬戸内海に面しているため、他県とは違った食文化がある、関サバ、関アジなどがその代表格だ。また、から揚げや日田焼きそばなどB級グルメも充実している。生の魚介類以外はスタジアム内外の売店でも販売されているので弾丸遠征でも気軽に楽しむことができるのがありがたい。
上の写真は大分駅のフードコートのから揚げだが、かなりのレベルでハイボールやビールが進んでしまう。大分のから揚げはセレッソのスタジアムグルメでお馴染みの鶴心さんのから揚げとは違い、ころもが薄くふんわりとした食感が特徴なのでもたれにくいのがいい。
こちらは日田焼きそば。麺を揚げ焼きにしているため、麺ともやしのパリパリ、シャキシャキとした食感のコントラストが楽しい。
あとは、鶏肉の入った炊き込みご飯をおにぎりにした鶏めしもぜひ食べていただきたい。派手さはないが鶏肉のうまみが米に染みわたっており、スタンドで食べているとノスタルジックな気分になる。
また、ドリンク類についてだが、酒好きの方ならやはり焼酎をおすすめしたい。大分は麦焼酎が広く流通しており、スタジアムでも水割りやお湯割りを堪能できる。冬場の風が強い日などはお湯割りで体を温めておきたい。価格も生ビールより安めでお得だ。
から揚げ、焼きそば、おにぎり、お酒というとスタジアムグルメのド定番のように感じるが、そのうまさ、コスパの高さはJリーグ屈指と言っていいだろう。
総合点
スタジアムは陸上競技場のため、ビッチとスタンドが離れていて臨場感に欠ける。だが、スタンドは全席屋根付きでコンコースも広く、スタジアムグルメも手堅くまとまっている。
試合開始時刻が昼間であれば日帰りができるし、夜の試合で一泊となっても大分駅近辺では安価で清潔なホテルが多数ある。自家用車で遠征をするのであれば別府温泉を楽しむのもいいだろう。海の幸山の幸に恵まれ、天然温泉がそこかしこにあり、良い酒もある。うっかりすると試合観戦より観光の方がメインになりそうな場所、それが大分だ。
写真・文:牧落連
※記載内容は記事公開時点での情報に基づいています