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YOICHIRO KAKITANI LAST MAGIC ~柿谷曜一朗は最後にどんな魔法をかけたのか~

こんばんは、セレサポ.netライターの牧落連(まきおちれん)です。

行ってきました、観てきました、柿谷曜一朗選手の引退試合「THE LEGEND DERBY YOICHIRO KAKITANI LAST MAGIC」。セレッソ大阪や曜一朗にゆかりのある選手が集ったOSAKA PINKと、ガンバ大阪にゆかりのある選手が揃ったOSAKA BLUEが激突するレジェンドダービーに2万749人の観衆が魅了されました。

これまでも海外クラブとのフレンドリーマッチのような花試合はたくさんありましたが、曜一朗が仕掛けたこの試合ほど主催者の想いや願いの詰まった試合も、エンターテイメントとして完成された試合もありませんでした。

曜一朗や当時のセレッソ、ガンバを知る者にはグッとくるシーンがたくさんありましたよね。そして、純粋にサッカーが好きな人にとっても、魅力的なメンバーの素晴らしいプレーをたくさん観ることができました。早速、この特別な試合を振り返ってみましょう。

レジェンド全部盛り!豪華すぎる出場選手

まず、この試合で気になったのが両チームの選手選定でした。曜一朗の引退試合なのだから彼と縁の深い選手が選ばれるのは当然です。キム・ジンヒョン選手、酒本憲幸選手、茂庭照幸選手、山下達也選手、丸橋祐介選手、扇原貴宏選手、山口蛍選手、奥埜博亮選手と守備陣の主軸だけでもお腹いっぱい。

前線にはセレッソが誇る5人の“背番号8番”が勢ぞろい、森島寛晃選手、香川真司選手、清武弘嗣選手、乾貴士選手、そして柿谷曜一朗選手。トップにはやんちゃ坊主の大久保嘉人選手と杉本健勇選手、そして監督は西澤明訓選手とレジェンド全部盛りです。

対するOSAKA BLUEも遠藤保仁選手、宇佐美貴史選手とガンバを代表する二人の背番号7を中心に、倉田秋選手や家長昭博選手、橋本英郎選手に今野泰幸選手と豪勢極まりないメンバーが揃います。本田圭佑選手やパトリック選手の招集は反則じゃないかと抗議したいところですが、曜一朗のために来てくれたのだからここはガマンしましょう。

ベテランとしていまだ第一線で活躍する選手、引退してすぐの選手がこれだけ集まるのもすごいことです。そんな中、どうしてこの試合に呼ばれたのか疑問だった選手もいました。OSAKA PINKだと西尾隆矢選手や喜田陽選手、中島元彦選手といったまだまだ若手、中堅どころの選手たちです。ここにも曜一朗なりの願いが込められていたのですが、それに気づいたのは試合後、彼の最後のメッセージを聞いてからでした。

狙い通り?点を取り合うバッチバチの大阪ダービー

2025年12月14日、試合当日。数日前まで雨予報でしたが朝には曇天模様になり、9時過ぎには快晴へと変わりました。12時キックオフなのでスタジアムの開場も10時とかなり早め。それでもスタジアム周辺には朝早くから両軍のサポーターの姿が見られました。出場選手のセレッソ時代のユニフォームを着込んでいる人も結構いましたね。

ウォームアップ、レジェンドたちがピッチに現れるとボルテージは早くも最高潮になりました。特に、願わない形でセレッソを去ることになった乾選手への声援はグッとくるものがありましたね。長い時間がかかってしまったけれど、クラブ、サポーターと乾選手の間にあったわだかまりが解けたことは間違いなく素晴らしいことでした。

そして12:00、キックオフ。当初は試合の強度がどれくらいなのか判断つきかねましたが、そうです忘れていました、本田圭佑選手がいたことを。この人、とにかく負けるのが嫌いなんですよ。

本気モードの彼は開始早々OSAKA PINKの左サイドを侵食、一旦右サイドに流れたかと思うとクロスを冷静に流し込んで先制ゴールを決めてしまいます。喜び方が半端じゃないし、シャケさんなんてプレーの激しさについていけなくてこの時点で息が上がっていました。そしてその後、5分も経たないうちに家長選手が2ゴール目を決めます。0-2、OSAKA BLUEがOSAKA PINKに「今日はガチだぞ」というメッセージを叩きつけた瞬間でした。

そんな劣勢でも曜一朗は嬉しそうでした。いや、今となっては2点決められたからこその笑顔だったんだと思えます。

反撃ののろしとなった曜一朗のゴール、同点になった杉本選手のゴール、どちらもらしさが出ててたまりませんでした。どちらも若いころは才能があるのに不器用で、結果が出ずに苦労しました。そんな2人が齢を重ねていい大人になって、チームのためにプレーしてチームのためにゴールを決めて、サポーターとしてはたまらん展開です。

後半、やっぱり反則だったパトリック選手にゴール決められますが、今度は乾選手がオフサイドギリギリ(?)の素晴らしい飛び出しから同点ゴールを叩き込んでチームを救います。ヨドコウのゴール裏が彼のチャントを歌い、笑うのはいつぶりだったか。それに応える乾選手の笑顔もいつぶりだったか……。

そして、ラストは今日の主役、柿谷曜一朗の勝ち越しゴール。こっちはVARでもギリギリオンサイドの抜け出しからキーパー武田洋平選手の股抜きという、いかにも曜一朗らしいスキルフルなシュートでした。

ラストは乾選手がパトリック選手をマンマークで止めに入ったり、本田圭佑選手が再び放った空気読んでないシュートを山口蛍選手の空気を読んだブロックで防いだり、最後まで笑い声と歓声が鳴り止まない中、タイムアップとなりました。

柿谷曜一朗の「最後の魔法」

柿谷曜一朗の選手としての最後の試合はこうして終わりました。本来ならその後、出場選手がピッチに勢ぞろいして、曜一朗がスピーチをして終わりのはずなんですが、その前にサプライズがありました。

引退試合をしていないレジェンドたちに対して、曜一朗自らが花束をプレゼントしたんです。セレッソOBにはピンクのバラを、ガンバOBにはブルーのバラを。遠藤保仁選手がウィンドブレーカーをいそいそと脱いで、ユニフォームだけの正装でバラを受け取ったのは印象的でした。あのあたりが、マスターオブガンバ。

最後のスピーチでは、なぜこれほど豪華な引退試合をしたかったのか、曜一朗自身の想いが語られました。

まずは自分自身の引退試合のために、ダービーのために足を運んでくれたOSAKA BLUE、そしてガンバ大阪サポーターへの感謝。日本一のダービーは相手がいるからこそ成り立つ、ライバルとして最大限の賞賛から。

そして、3歳から今に至るまで育て、支え、引退試合をダービーにしたいというわがままを受け入れてくれたセレッソ大阪と全てのスタッフ、サポーターへの感謝。裏方してる人間にとってはこういう一言が嬉しいものです。

次の言葉はこれからプロを目指す若者に向けてのものでした。海外志向が強まってはいるけれど、大阪にはダービーという素晴らしい試合があるということ。まずは大阪でプロになってほしいということ。そしていつか、いつか香川真司から8番を奪う者、宇佐美貴史から7番を受け継ぐ者が出てきてほしいという願いが続きます。

曜一朗は自らの引退試合を利用して、サッカー好きな若い人たちの耳目が集まる場所で、セレッソ大阪がより強くなるように、ガンバ大阪とダービーがここにあり続けるようにと「最後の魔法」をかけたのではないかと、そんな気になりました。

それならセレッソの次世代を担う西尾選手や喜田選手、中島選手が選ばれたのも納得ができます。

乾選手とサポーターの縁を戻したのも曜一朗にとっては必要な事だったんでしょう。

スタジアムにいるセレッソサポーターもガンバサポーターも、みんなこの魔法にかけられてしまいました。こんな素晴らしくて、まっすぐな魔法を残していく柿谷曜一朗に、スタンドからは万雷の拍手が送られます。これほど心が温かくなるダービーは後にも先にもこの一試合だけでしょう。

曜一朗にこれほどの試合を観せられたら、これからもセレッソの応援を頑張らなくちゃと思いますよね。とりあえず次の大阪ダービーはしっかり盛り上げまくって、日本一のダービーだということを証明しましょうか。

おっと、その前に。曜一朗、19年間本当にお疲れ様でした。

 

写真・文:牧落連

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